福島のいま

FUKUSHIMA NOW

福島県浪江町 請戸海岸公民館から第1原発を望む

復興は道半ば。いまだ、数万人帰郷できず!

あれから11年。いまだ、原発所在地の双葉・大熊・冨岡・楢葉町や隣接した浪江町、川内村などへの帰還困難地域が残ります。津波被害地域では、防潮堤や災害公営住宅などのインフラ整備はほぼ完了。しかし、津波で多くの犠牲者が出、若い世帯は県外の暮らしに慣れ、以前の賑わいはありません。また、福島県の放射能汚染地域の多くは、帰還制限解除されたものの、多くの方々が、長く放置され、朽ちた自宅を解体するなど、故郷に帰還できないでいます。

福島県大熊町 国道6号線両側の市街地

バリケード!

避難解除された沿岸部、市街地も、長年放置せざるを得なかった家屋は朽ち、解体。空き地が目立ちます。例えば、浪江町の人口は震災前の2.1万人から1,000人に激減。かつての「2世帯、3世帯同居」「隣近所のコミュニティ」が解体、「故郷」の喪失感が広がっています。

福島県富岡町の畑に「トン袋」の山

いまも数万人の避難者!

「孤独死」「自死」「病死」など災害関連死も東北全体で4,000人近くのうち、6割が福島県内。沿岸部の「浜通り」だけでなく、福島市、郡山市などの「中通り」などでも、3.11直後、畑や通学路、庭に汚染物の「トン袋」が並んだ時期もありました。放射能被害を避ける「母子」を中心とした「自主避難者」も全国に散り、11年を経た今も、その多くは家族離散のままです。

福島県南相馬市南町復興公営団地

「ハコ」ものメイン

国の復興予算はこれまで累計約33兆円。道路、土地改修、がれき撤去など公共事業を中心にハード面に17兆円以上が使われました。しかし、被災者給付やコミュニティ作りなど被災者支援のソフト面は1割以下。「心のケア」は民間ボランティアやNPO頼みが現状です。10年間でその復興予算も終了しました。残り5年、福島の原子力災害予算のみ残っています。

福島県浪江町請戸漁港

産業を戻す!

「風評被害」の続く福島、特に浜通りや飯館村などの農業、畜産業の被害修復は遅れたままです。その中で、放射能汚染水を太平洋に放出するなどの政府方針は、「試験操業からようやく本格操業へ」という浜通りの漁業関係者の怒りを買っています。一度は失われた「わがまち」でしたが、新しい道のりを歩み出そうと、あらゆる地域で懸命な努力が続いています。

福島県力士優勝に沸く

2022年3月27日の大相撲春場所千秋楽で、福島市出身の関脇若隆景(27)=荒汐部屋、本名大波渥(あつし)=が初優勝を果たしました。福島県出身力士では、1953年夏場所優勝の時津山(元関脇、いわき市出身)、1972年の初場所で優勝した栃東(元関脇、相馬市出身)に続く3人目となる快挙。地元福島市では関係者らが歓喜に沸きました。若隆景には、幕下の若隆元(30)、前頭の若元春(28)と2人の兄がいて、地元では「大波3兄弟」と呼ばれ、市民から期待されています。

酒処復活、日本一!

2022年で110回の歴史を数える伝統の『全国新酒鑑評会』で、福島県が金賞受賞数9回連続日本一を達成しました。そもそも、水と米に恵まれた福島県は酒処。しかし、2011年の東日本大震災で津波に襲われたり、地震で壊れたりと、多くの酒蔵は様々な被害を受け、また一時は放射能の「風評」もあって、厳しい環境におかれていました。2011年、2012年は2位。しかし、2013年から金賞日本一となり、2022年まで9年連続。皆様も福島に来られたら、ぜひ、この美味しい日本酒を味わっていただきたいものです。

福島県、合唱王国、復活!

47都道府県中、最も受賞校、受賞回数の多い県は福島県です。合唱王国として有名です。今回のチェロ・コンサートでは共演を予定しています。
NHK合唱コンクール
高校の部で、安積黎明、橘、郡山、会津と各地の県立高校が競い、2015年、18年、21年に金賞受賞。中学校の部は、郡山第1、第2,第5,福島第1、会津第4と各市立が交互に入賞。2011年以降全国ベスト3に3回も福島県2校が入賞しています。
全日本合唱コンクール
2021年ではAグループ金賞が安積黎明、Bグループ金賞が会津と郡山高校。中学の部も、同声で金賞郡山第1,郡山第6,銀賞郡山第7。そして、10大会連続金賞に会津高校、文部大臣賞4校中2校が郡山高校、郡山第1,大分知事賞2校独占の安積黎明、会津高校。

浪江町の復興のシンボル、道の駅なみえ

「音楽の力」を。

3.11以降、多くの皆さんが、被災地や首都圏などで、チャリティコンサートを開催、または参加され、当初は「無力」と思われた「音楽の力」が、傷ついた多くの人々の心の支え、癒しとなったことを体感されました。その力を、今回は人間の声に最も近い、チェロの響きでお届けします。全国各地でチェロを弾かれる皆様の力を貸してください。そして、「福島のいま」を一緒に体感しましょう。